2012年7月、初めて海外へ一人旅をした。それまでも誰かと現地で合流して旅をすることはあったが、最初から最後まで一人というのは初めてだった。

選んだのはセブ島だった。今思えばなぜリゾート地に一人で行ってしまったのかよくわからないが、なぜかピンときた。

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セブ州の中に Cebu City と Lapu-Lapu City があって、皆がイメージするビーチリゾートであるマクタン島は Lapu-Lapu のほうにある。それを知らずに来た僕は、現地の人が「らぷらぷぅ!」「らぷらぷぅ!」と言うのを聞いて、こいつらは僕をバカにしているのか、ふざけているのか、と思った。彼らは単に街の名前を言っていただけで、単に僕が無知なだけだった。

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宿はマクタン島の、1泊1.5万円くらいの中くらいのところ。そこから紹介してもらったドライバーに、バイクと車で四日間案内してもらった。40代の男性だ。UberもGrabもない頃で、彼はメッセージアプリと紹介で自分の客を掴んでいた。値段の交渉はほとんどしなかった。円が強かったし、こちらが強く出る理由はなかった。

アクティビティといえばマリンスポーツか、銃を撃ってみることか。いちいち金がかかるし、一人でやって面白いものではなかった。

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バイクが多く、舗装されていない道も多い。子どもたちが道を走り回って遊んでいる。その同じ島に、当時の僕には泊まることのできない高級ホテルがいくつかあった。塀が高く、ガードマンがいて、現地の人にとっても僕のような観光客にとっても中に入るハードルがある。富裕層だけが専用の空間と専用のビーチで過ごす、完全にゲーティッドな空間だ。外から写真を撮った。観光客にしか見えないから、注意もされなかった。その写真はもう残っていない。

きれいなホテルに泊まってみたいなぁ、とは思った。ただ、泊まるとしても一人ではないよな、とも思った。

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いちばんよかったのは、Cebu City に移動して食べた日本のラーメンだ。僕にとっては数百円の飯という程度で、僕が奢った。彼は、ラーメンが高級なのではなく、外食をすること自体が高級なのだと言った。

生まれてこの方ずっとこの街で暮らしていて、周りの友人も似たような仕事をしている。金持ちが観光に来て遊ぶのを手伝っているだけだ、と彼は言った。家族が多いから、どう養っていくかを考えている。いつか海外に行ってみたい、とも言っていた。

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街を歩いて、現地に住む人たちと会話して、何かがわかったような、何もわかっていない3泊4日だった。

名前で呼び合ったし、連絡先も交換した。それから14年、セブには一度も行っていない。