対等でない関係は、健全に続かない。

これは、かなり確度の高い経験則だと思っている。片方だけが気を遣い、片方だけが合わせている関係は、続いているように見えても消耗していく。

だから、自分を雑に扱う相手に、時間とエネルギーを注ぐのはやめたほうがいい。

ここまでは、たぶん多くの人が同意する。

ただし、態度から内心は読めない

問題は、何をもって「雑に扱われている」と判断するかだ。

返信が遅い。約束の確認が直前になる。言葉が短い。こうしたことを、そのまま「自分に価値を感じていないからだ」と読む人がいる。

僕は、この読み方は危ないと思う。

返信が遅い理由なんて、いくらでもある。単純に忙しい。心身の余裕がない。家庭で何かが起きている。連絡に対する作法がそもそも違う。落ち込んでいて、誰にも返せていない。

このどれかであることのほうが、実際には多い。

相手の行動から、相手の内心を断定するのは、たいてい外れる。 そして外れたときのコストが大きい。本当は大事に思ってくれている相手を、自分から切ることになる。

特に、自分に自信がない時期ほど、この誤読が起きやすい。沈黙が全部拒絶に見える。そういう状態のときに「雑に扱われている」と判定すると、身の回りから人がいなくなる。

見るべきは、内心ではなく積み重ね

じゃあ何を見ればいいのか。

僕が見るようにしているのは、一回の態度ではなく、繰り返しの中に出る優先順位だ。

こちらの予定だけが常に後回しになる。約束が定期的に流れる。頼まれごとは即答なのに、こちらの相談には返らない。こういうことが何度も続くなら、それは気分ではなく優先順位の話だ。

優先順位は、内心と違って観察できる。一回では判断せず、何度か見る。それだけで、誤読はかなり減る。

そして、優先順位が低いこと自体は、責める話ではない。人には順番がある。全員を上位に置ける人はいない。

ただ、こちらも同じように順番を決めていい。それだけのことだ。

自分も、誰かを雑に扱っている

ここは書いておかないとフェアではない。

僕自身、返信を落としたことが何度もある。忙しさを理由に、会う約束を先延ばしにして、そのまま流したこともある。前に、誘ってくれた人に折り返さないまま、その人が亡くなってしまった話を書いた。

あのとき僕は、その人を雑に扱ったのだと思う。軽んじていたつもりは一切なかったのに。

つまり、雑に扱うのは、悪意ではなく余裕のなさから起きる。少なくとも僕の場合はそうだった。

だから、誰かの雑な扱いを受けたときに、まず「余裕がないのかもしれない」と考えるようにしている。そのうえで、それが何度も続くなら距離を調整する。順番はこちらのほうがいい。

後から近づいてくる人について

もうひとつ、よく言われる話がある。

こちらが結果を出したり、評価されたりしたタイミングで近づいてくる人がいる。あれは肩書きに興味があるだけで、人としての自分には興味がない、という見方だ。

半分は同意する。ただ、全員を切るのは違うと思う。

人の状況は変わる。あの頃は余裕がなくて連絡できなかった人もいるし、単純に接点がなかっただけの人もいる。遅れて出会った人の中に、長く付き合うことになる人はふつうにいる。

見分け方があるとすれば、内心の推測ではなく、これも観察でいいと思っている。

こちらの立場が下がったときに、どうなるか。

うまくいっていない時期、話題にならない時期、頼めることが何もない時期。そこに残っている人が、肩書きではなく本人を見ていた人だ。そして、それは待っていれば必ずわかる。人生は長いので、下がる時期は勝手に来る。

だから、近づいてきた時点で判定する必要はない。しばらく見ていればいい。

時間の使い先

結論としては、シンプルなところに落ち着く。

時間もエネルギーも有限なので、大事にしてくれる人に使う。そのために、そうでない関係からは静かに距離を取る。

ただし、判定は急がない。一回の態度で決めない。相手の内心は読まない。そして、自分も無自覚に誰かを雑に扱っている可能性を、常に一つ残しておく。

そのくらいの慎重さは、持っていたいと思っている。